お子さんのいるご家庭では、七五三は一家の一大イベントとなりますよね。
一生の思い出に残るイベントをより華やかに思い出深いものにしていくために。
または、親から子どもへの愛情表現や成長への願いを形にするべく、七五三の着物を手作りにしたいと考えている方もいらっしゃると思います。
最近はDIYが新しい常識となりつつあるので、普段の服は手作りという方も少なくないですよね。
ですが着物を手作りするとなると、すごい手間が掛かったり、ものすごい時間がかかてしまうというイメージが先行してしまい、なかなか手が出ずに億劫になってしまうと思います。
洋裁はしたことがあるけど和裁は未経験だったり、着物や小物などのすべてを手作りにするのは大変な作業になります。
ですが今回は、初心者の方でも簡単に七五三の着物をミシンを使って作る方法などをご紹介していこうと思います。
簡易的な作り方になりますが、少しでも手作りをしたいと考えている方は、是非参考にしてみてくださいね。
七五三の着物を手作りする方法
それなりの時間の確保と覚悟が必要になりますよね。
これまで洋裁はしてきたものの、和裁はしたことがないという人も多くいる中で手縫いですべて仕上げていくのか、ミシンを使って手早く作るのかなども意見が大きく分かれると思います。
基本的に着物は直線縫いがほとんどなので、ミシンを使っても問題ないかと思いますが、個人の好みやこだわりに合わせた方法が一番良いと思います。
まずはじめに着物を手作りするにあたって、知っておくべき基本的なことを4点紹介していきます。
①着物は左右対称の衣装である
着物は着るときに左を前に着付けるので、左右非対称と思われがちですが、洋服と同じように基本的には左右のサイズはすべて同じ作りになっています。
②幅38センチほどの長い布から作る
洋裁のように大きな布を切って組み合わせていくのではなく、細長い布(反物)を縫い合わせて作っていきます。
③手縫いですべての工程を行う
和裁の基本はすべて手縫いでパーツも縫い合わせも行うことです。
ですが、個人で使うものなので、自己判断でミシンを使ってもなんら問題ないと考えています。
ただ全て手縫いすることにより不要になった時にほどきやすく、再利用しやすいというメリットがあります。
④各パーツは、襟、袖、身頃、おくみに大別される
パーツごとに分けて考えて作っていくと、大変さも軽減されます。
洋服に比べると曲線がなく、直線がほとんどなので、パーツごとに作っても難しいものではありません。
着物は洋服と違い大分作りがシンプルです。
わずらわしいボタンやファスナーの取り付けありませんし、ダーツやギャザー、カーブに縫い合わせるなんてこともありません。
基本的には直線縫いです。
大人の着物の場合は反物(着物用の細長い布)を使いますが、七五三の着物であれば、柄が可愛ければ普通の布を使っても問題ないと思います。
ただ、子供用の反物の柄には子供のためい願いの込められた絵柄があるため、伝統的なものを重んじる場合には、七五三用の反物を使うのが良いと思います。
上の4つ項目はあくまで本格的な和裁をする際の留意点なので、ご参考までに。
今回は七五三の着物を手作りするのに、作りやすいように、あまり形式ばったものは排除して簡易的な作り方を紹介したいと思います。
本格的に和装にチャレンジしたい方は、和装の専門書などを購入いて一から勉強してみるのも、自分の経験にもなり良いですよ。
七五三の着物を手作りするのに必要なもの
- 着物の生地(反物)
- 裏地となる生地
- 針
- 糸
- はさみ(二種類・布用の裁ちばさみと糸用の糸切ばさみ)
- 短いものさし
- へら
- くけ台
- 断ち台
- 長いものさし
- アイロン(こて)
ミシンを使う場合はもちろん針や糸などは必要なくなります。
着物用の生地(反物)と裏地用の生地は柄の違うものだったり、パーツによって無地や白など、各場所によって分けるとかわいく仕上がりますよ。
サイズに関しては、子供用の着物の型紙が必要になるのですが、身長や体形によって変わってきますので、ここでは割愛します。
手芸用品店に型紙が販売されていたり、手芸の本を購入をすると型紙がついているので、そちらを活用するのがオススメです。
これくらいかな~で合わせてしまうと、あとで生地が足りなくなったり、不格好な不格好なものができてしまうので、型紙はキチンとしたものを使いましょう。
ではおおまかな七五三の着物の手作りの手順をみていきたいと思います。
1. まず、着物を仕立てる順序としては、最初に着物の生地(反物)の布目を整えることから始めます。
反物の場合は必要な工程ですが、通常の生地を使う場合にはなくてもかまいません。
2. 着物が出来上がったときに柄がきれいに出るように、裁断する方法を考えましょう。
反物の場合は柄が上下左右どの方向を向いても良いように作られています。
ですが、普通の生地を使って作る場合には柄の上下を合わせなくてはならない場合があるので、柄の向きを注意して見てください。
出来上がったあとに袖だけ反対向きだったなんてこともありえます。
3. 身頃、袖、衿、おくみのそれぞれの部分に裁断します。
型紙を使って、お子さんのサイズに合った大きさに裁ちばさみを使って生地(反物)を切っていきます。
型紙は型紙は縫い代などがきちんと確保されているので、型紙と同じサイズに裁断すれば問題ありません。
4. 衿肩明を裁断する
着物は立体裁断ではないので、洋服のように曲線でないため布地を切り取ったりできません。
そのため布地の肩山の位置に切り込みを横方向にいれて首周りをつくります。
その部分やその寸法のことを衿肩明(えりかたあき)といいます。
5. 出来上がり線のしるしを、「へら」でつけましょう。
実際に出来上がるサイズの位置(縫い付ける位置)にへらを使って印をつけておきましょう。
へらではわかりにくい場合や、ペンで書いても目だない柄であれば、分かりやすい物で書いても大丈夫です。
初心者の場合は後でわからなくなってしまうくらいなら、最初からペンなど消えないもので書いた方が無難と言えます。
それを見越して目立たない色柄を購入するのもアリですね。
6. パーツをひとつずつ作っていく。
型紙に応じて、パーツごとに手縫いまたはミシンを使ってパーツを完成させましょう。
裏地が必要な個所には裏地を縫い付けましょう。
7. 「こて(和裁用のアイロン)」を利用して縫い代に折り目をつけていきます。
こてがなければアイロンを使って、片倒ししていきます。
片倒し(かたたおし)とは、縫いしろをどちらかの方向に倒していくことです。
8. パーツができたらパーツをつなぎ合わせます。
パーツがすべて完成してそろったら、襟、身頃、袖、おくみなどをすべてつなぎ合わせてひとつにしていく。
上のものは簡易的な着物の手作りの方法ですが、着物の柄やサイズに間違いがなければ簡易的でも可愛い着物が出来上がりますよ。
ちなみに、ミシンを使わずにひとつひとつ手縫いで塗っていくと、七五三が終わった後にはまたほどいて分解することができます。
二人目のお子さんの七五三の時に作り直したり、普段に使える小物などにリユースしても思い出の詰まった大切なものになります。
着物の後のことも考えるのなら、面倒でも手縫いをオススメします。
ですが、ミシンを使った方が断然早くて、安定した縫い目になります。
初心者の方や自信のない方は、気にせずミシンを使って下さい。
手縫いでもミシンでも手作りの温かみや愛情は十分に伝わりますよ。
七五三の着物は経験ゼロでも手作りできる?
七五三の着物を手作りしたいけど、和裁はおろか洋裁すら経験がない!という方でも挑戦できるものがあります。
経験が0なのに、いきなり着物を作るのはハードルが高いと思います。
でも子供のためになにか手作りしたいというかたにオススメなのが、着物の上に着る『被布』。
七五三の時期は少し寒いので、着物の上に上着を着ると思います。
その時に着物に合った色や柄で『被布』を作ると、とっても可愛いです。
着物をレンタルする場合にはセットになっていると思いますが、用意する旨を伝えれば当日に使ってくれます。
『被布』は室内に入った時にでも、通常の上着と違って脱ぐ必要がないので、どの写真にもキッチリ残しておけるのもうれしいところです。
こちらも型紙は本や手芸用品店で購入できますが、簡単なものなので、WEB上にも無料で公開されています。
サイズに応じたものをダウンロードして使ってくださいね。
七五三の着物の上に着る被布の手作り方法
1. 生地を型紙通りに裁断していく。
2. パーツごとにキルト芯を縫い付ける。
きるとキルト芯は綿のようなもので保温効果がありますよ。
ミシンを使って縫い付けます。
3. 表の生地と裏地を中表にして縫い合わせる。
前後間違えないように確認しながら裏地を縫い付けてください。
4. 各パーツが完成したら、ひとつに縫い合わせる。
パーツごとに裏地をつけ終わったら、所定の位置にそれぞれのパーツを縫い付けていく。
5. 飾りをつける。
着物に合った飾り(紐飾りなど)を縫い付けて完成。
基本的には防寒具なので、生地と裏地の間にキルト芯を入れてフワフワにするのがポイントです。
飾りは自由に付けられるので、世界で一つだけの被布を作ることができますよ。
ミシンで真っすぐ縫っていけば良いので、着物よりも初心者向けと言えます。
七五三の着物生地の選び方
着物を手作りするうえで一番重要と言えるのが生地選びだと思います。
柄や質感など様々な反物がある中で、お子さんの好みも関わってきて、選ぶのにかなりの労力を使うと思います。
そんな時は、着物に描かれた柄についている意味を参考にして選んでみるのも良いかもしれません。
貝桶
貝合わせの貝をしまう六角形の入れ物で華麗な蒔絵が施されているキレイなものです。
昔はお嫁入り道具のひとつだったんですよ。
貝合わせに使われるハマグリは元々の上下の殻でしか柄がぴったりと合わないため「一生添い遂げますように」との願いが込められているんだそう。
束ね熨斗(のし)
ご祝儀の進物である熨斗をたくさん重ねていることから「多くの人達から祝福を受けていて、また幸せを多くの人達と分けあって欲しい」との願いが込められた柄なんです。
男の子の着物にも女の子の着物にもよく使われます。
御所車(ごしょぐるま)、花車
御所車は貴族の乗り物で気品の象徴とされていて、男の子の初着の柄としても使われています。
御所車に四季折々の花をあしらったのが花車でひとつひとつの花に人々の祝福が込められているおめでたい柄なんですね。
鷹
男の子のお宮参りの衣装でよく見られる柄です。
鷹は優秀なハンターではるか遠くまで見渡せる鋭い目と、一度つかんだら絶対に離さない鋭い爪があります。
- 鋭い目・・・本質を見抜く力と先を見通す力
- 鋭い爪・・・幸運をつかんだら絶対に離さない
着物の柄一つをとっても、大切なお子さんが健やかに成長してほしいという願いが込められたものばかり。
お子さん本人にも、柄に込められた思いをお話してあげて、自分で選ばせてあげるのも良いかもしれませんね。
なにはともあれ、一生に一度の事ですから、親御さんは気合が入ることと思います。
手作りは出来る範囲で、着物の生地選びはお子さんと一緒に楽しくできると良いですね。
まとめ
七五三の季節になると、千歳あめをぶらさげて歩く可愛らしい着物に姿に癒されます。
ご両親だけでなく、親戚一同が小さかった赤ちゃんからの成長に心打たれるものです。
今の時代は着物だけではなく、ドレスやタキシード姿で七五三の写真を撮る方も増えていますが、せっかくの日本の特別な行事ですから、昔ながらのお着物で迎えるのもとっても良いものですよ。
手作りはハードルが高いと思いがちですが、作り始めてみるとつい熱中してあっという間に作れちゃったというママさんもいます。
大切なお子さんのために、お金ではなく、時間を使うのも、後になってとても印象に残ります。
少しでも興味がある方は、簡単なものからでも是非チャレンジしてみてくださいね。
コメント