故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを新盆(地域によっては初盆)と言いますが、そのやり方や方法は宗派や地域によっても違いがあります。
また費用の面でも、出費となる場合もあります。
では、
- 一般的な新盆(初盆)とはなにか?
- 新盆を家族だけで行うやり方とは?
- お坊さんを呼ばないのはあり?なし?
新盆一般的な相場を比較し、削れる部分があるのかなどをお話ししたいと思います。
あくまでも、一般的な方法でのやり方を説明しますので、それが全てではありません。
お住まいの地域の特性や宗派でのやり方を優先して行ってください。
もし分からない場合はお寺さんに聞くのが一番です。
最低限知っておく新盆の常識は?

ではまず新盆(初盆)とはそもそも何なのか、何をするべきなのかお話しします。
そもそも新盆(初盆)とは故人が亡くなって、四十九日の法要を過ぎてから初めて迎えるお盆のことで地域によっては「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」とも呼びます。
また「初盆」とも表現する地域もあります。
私の住む九州は初盆「はつぼん」と言います。
また呼び方に違いがあるように、新盆の時期にも地域差があります。
- 東京、神奈川、静岡などでは毎年(新暦)7月
- 沖縄地方では旧暦の7月(新暦では7~9月。年度によって異なる)
- その他の地域で毎年(新暦)8月
新盆ですること
では新盆ではなにをすべきなのか、一般的なお話しをします。
まず、お盆に入る13日午前中(もしくは12日)には仏壇の前に精霊棚(盆棚)を飾ります。
精霊棚をしつらえるのに必要なものは笹や真菰(まこも)などで、仏具店などでセット販売されています。
棚ができたら飾っていきますが地方や宗派によって飾り方が異なります。
中央にお位牌でその前に香炉や燭台、鈴などを飾るのが一般的です。
また、盆提灯がある場合は精霊棚の両脇に飾り、数が多い場合は仏壇の前にも飾ります。
白提灯は初盆のみ用いるもので玄関先や軒先に飾ります。
午後にはお墓の掃除とお墓参りをし、盆提灯に火を灯します。
地域によってはお墓参りの際に提灯に火を灯して霊を家まで案内する風習もあります。
その後、夕方になったら故人や先祖の霊を家に迎えるための迎え火を焚きます。
これは、玄関先や庭先で平皿におがらをのせて燃やします。
「おがら」というのは皮を剥いだ麻のことで、花屋やホームセンターなどで手に入るものです。
また平皿は、本来は焙烙(ほうろく)という素焼きの平皿を用いますが耐熱の平皿を使用することも多くなっています。
新盆の儀式
初盆の場合は14日~15日に法要や供養の儀式を行います。
初盆の法要は親族の他、故人と縁の深い方を招き精霊棚の前で僧侶が読経を行うものです。
墓地が近い場合にはお墓の前でも読経を行います。
法要後は会食を行うことも多いです。
また、霊が帰ってきている期間中は灯明を絶やさないようにすることと、お水や食べ物を毎日交換することが大切です。
16日には午前中に最後のお供え物をし、夕方になったら霊をお送りする為の送り火を焚きます。
この時に白提灯は一緒に燃やすかお寺で供養してもらうことになります。
新盆の法要では、僧侶を自宅に招いて法要を行うのが一般的です。
初盆を迎えた軒数によっては前倒しで読経を行う場合もありますので、なるべく早めにお寺に連絡を入れ予約を取っておきましょう。
また、法要の後に会食を行う場合は出席してもらえるのかも尋ねておきます。
それから初盆では親族以外にも故人と縁の深い方を招きます。
通夜や葬儀の参列者名簿を参考にして案内状を送付し、会食を行う場合は出欠の確認もしておきましょう。
2週間前をめどに法要の出席者に当日持ち帰っていただく盆返しや、引き出物のほか会食を行うならば料理の手配もしなければなりません。
親族から御提灯代をいただいている場合は盆提灯の手配も必要です。
特に家紋入りの白提灯にする場合は早めに注文しましょう。
白提灯は初盆のみですが絵柄つきの提灯は2年目以降も使用できます。
前日までには御布施の準備もしておきます。
これは僧侶への謝礼のことで御経料とも言うものです。
法要当日に会食に同席していただく場合は、御布施(御経料)とお車代の2つを渡します。
会食を辞退された場合は御膳料を加えた3つを渡すことになりますので、会食の出欠は必ず確認しておきましょう。
法要の流れ
法要当日の流れは特に決まりはありません。
代表的な例として、仏壇(精霊棚)の前に僧侶の席をしつらえておき、到着したら案内します。
僧侶のすぐ後ろには施主が座り、前の方に故人との血縁の濃い人が席を取っていきます。
それから、施主が初盆の挨拶を行い僧侶の読経へと移ります。
読経を行っている間に施主から順番に焼香を行い、僧侶の法話を聞くことになります。
その後、僧侶が退場されますが会食を辞退された場合はこの時点でお礼を渡します。
手渡しではなく小さなお盆に載せて僧侶の方へと差し出すのがマナーです。
会食に同席される場合は会食後に渡すことになります。
最後に施主によるお礼の挨拶と会食の案内を行います。
会食が無い場合はその旨告げた後、折詰の料理などを引き出物と一緒に渡すのが一般的です。
初盆を終えたら、香典やお供えなどをいただいた方へお礼状を送らなければなりません。
また、初盆の法要が無事に終えたことを知らせるために、故人がお世話になった方には挨拶状を送ります。
以上が一般的な新盆の流れとなります。
読んでいるだけでも大変なのが分かると思います。
また費用もかかると思います。
そこで次はお坊さんを呼ばないということが可能なのかお話ししたいと思います。
新盆にお坊さんを呼ばないのはあり?なし?
結論から言えば、ありです。
この記事の冒頭でも述べましたが、様々な宗派や宗教の方々がおられます。
キリスト教や神道などを信仰している方々は新盆を行わないという考え方もある為、お坊さんを呼ばないのはありと言えます。
無宗教葬や自由葬という表現の仕方がありますが、お坊さんを呼ばない代わりに自由に出来る為
- 故人の好きだった音楽を流す(献奏)
- 故人の好きだった花を捧げる(献花)
- 故人の趣味や仕事の道具などを飾る
- お別れの言葉を伝える(弔事)
- VTRやナレーションで故人との思い出を振り返る
- 故人との思い出を語らいながらの食事会
などを行う人もいるみたいです。
しかし注意点も必要です。
自分自身は宗教にこだわりがなく、お坊さんなしで家族葬を行いたいと思っていても、先祖代々お付き合いをしているお寺(菩提寺)がある方はちょっと待ってください!!
菩提寺があるのにそこのお坊さんを呼ばずに葬儀を行った場合、そのお寺に遺骨を納骨できなくなってしまう可能性があります。
菩提寺にお墓があり、そのお墓へ納骨するためには、菩提寺のお坊さんに戒名をもらわないと納骨できない場合があるのです。
また、葬儀は故人と遺族だけのものではありません。
現在では様々な葬儀の形がありますが、特に年配の方などにとってはお坊さんの読経がある葬儀がまだまだ一般的です。
葬儀を無宗教形式で行った後に、親戚から「お経もない葬儀なんて故人がかわいそうだ」などと非難を受けてしまうこともあるようです。
お坊さんなしの葬儀を行う場合、親戚関係には「お坊さんなしで家族葬を行うこと」を事前に説明し、理解を得ておく必要があります。
では実際にどれくらいの費用がかかるのか次に話ししたいと思います。
新盆の相場を比較検討!どれを削ると安く済む?
新盆のおおよその費用は以下の通りです。
新盆のおおよその費用
灯台(吊るすタイプ) | 3,000円~6,000円 |
灯台(置くタイプ) | 15,000円~30,000円 |
供え物 | 3,000円~10,000円 |
会食 | 3,000円~12,000円 |
返礼品 | 1,500円~3,000円 |
お布施 | 40,000円 |
お車代 | 5,000円~10,000円 |
御膳料 | 2,000円~5,000円 |
一番安い相場 | 72,500円 |
一番高い相場 | 116,000円 |
差額 | 43,500円 |
抑える方法としては、新盆のやり方次第だと思います。
身内だけの家族葬やお坊さんを呼ばない自由葬を行うことで、お布施や車代等を削れます。
また参加者を減らすことで会食代も減ります。
会食も仕出しにすることで、ホテルや飲食店での食事よりも費用を抑えれます。
しかし、お坊さんを呼ばないときと同様で親戚関係から「新盆なのに盛大に迎い入れてない」など言われる可能性もあるのでしっかりと集まる方々への説明と配慮は必要かもしれません。
まとめ
なにより、値段ややり方では無く故人を惜しむ気持ち新盆で霊をしっかりと迎える気持ちが大事だと思います。
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