あなたは「椿」と聞いて何を連想しますか?
赤い花、美しい花などをイメージする人も多いでしょう。
椿の花は首からポトリと落ちることから縁起が悪いと思われる方も多いかもしれませんね。
縁起が悪いと言われていたのは武士が中心だった時代だけでした。
それ以前の時代では縁起が良い花と言われていたのです。
現代では縁起が悪い花という認識はあまりされていないようです。
とは言え、椿は縁起が悪い、と聞いて育った世代の人にとってはなかなかその価値観は変えられないもの。
高級な花である椿ですが、贈る時は確認を取るか、他の花を贈るなどして避けた方がいいかもしれないですね。
椿は魔除けとしての効力があるとも言われています。
今回はそんな椿の花について検証しました。
椿の花は本当に縁起悪いのか?
一般的に知られている椿の噂としては「縁起が悪い」というもので、特に年配の方に多いと思われます。
その理由は、椿独特の花の落ち方にあります。
あなたは椿の花が落ちる瞬間を見たことがありますか?
首の部分からポロッと落ちるのです。
打ち首が罪人の処刑方法であった江戸時代では特にその様子が「人間の首が落ちるシーン」とかぶって見えたようです。
この頃は世界的にも罪人は首を落とす方法が採用されていました。
フランス革命が勃発したフランスでも、ルイ16世や王妃であったマリー・アントワネットがギロチンにより処刑されたことは有名です。
現代では想像できませんが当時は「さらし首」として生首が町に普通に置かれていました。
そんな状況では打ち首と椿の花の落ち方が同じように見えてしまっても仕方がないことかもしれません。
このような理由から、武家屋敷の庭に椿は植えられませんでした。
家紋にも用いられることはなかったとも言われています。
この打ち首のイメージは江戸時代から明治にかけてあったようです。
明治の初期はまだ江戸時代の名残があったのでしょう。
打ち首を連想する一方で、花が落ちる様子を「潔い」と見て逆に武家屋敷に植えていた、という話もあります。
まことしやかに伝わってきたこの説ですが実は作り話で風評被害であった、という説もあるそうです。
ことの始まりは薩長の政府高官に椿が好きな方がおられたことのようです。
これに対し江戸っ子たちが「椿は縁起が悪い花だ」と因縁をつけたのだとか。
当時の政府高官と江戸っ子たちは仲が悪かったこともあり、こんな説も出てきたようです。
風評被害としては山茶花(さざんか)の生産者たちが広めた噂です。
当時、椿は抜群に人気があったため快く思わなかったさざんか生産者たちが椿の評判を落とすために広めたものだとか。
また地域的なことも関係するようです。
全国的に椿は縁起が悪いので庭に植えてはいけないという俗説があるようです。
その理由として、
- 家運が悪くなって不幸なことや凶事が起こる
- 家に病人が出る
など、家や家庭に関することが理由のようです。
この俗説は、武士に関係なく椿が嫌われていたことを表しています。
この俗説があるのは以下の地域と言われています。
- 東北地方・・・秋田・宮城
- 関東地方・・・千葉・東京
- 中部・・・山梨・長野・富山・福井・岐阜
- 近畿・・・三重・和歌山
- 中国・・・鳥取、岡山、広島
- 四国・・・愛媛
- 九州・・・大分・熊本
椿はもともとは縁起が良い花だった!?
縁起が悪い花として扱われた椿ですが、現代を含むそれ以外の時代では高貴な花として扱われていました。
平安時代の貴族たちの間では、椿は「高貴な花」、「聖なる花」であったのです。
椿は人気が高い花の一つです。
鎌倉時代に流行した華道や茶道。
当時、椿は茶席を飾る最高の花として使われていたのだそうです。
現在では日本産のもので2200種類以上あるのだとか。
椿の人気の高さをよく表していますね。
椿の花言葉を知ってますか?
色によって多少違いますが、どれもとても素敵な言葉です。
いくつか紹介しますね。
【椿の花言葉】
- 赤い椿・・・「謙虚な美徳」「高潔な理性」「見栄を張らない」
- 白い椿・・・「至上の美」「誇り」「最高の愛らしさ」
椿は冬の花です。
寒い季節にもかかわらず青々とした葉を広げきれいな花を咲かせます。
花言葉の通り、高貴な風情を感じさせます。
花言葉からわかるように、女性を形容するものが多いです。
女性への贈り物として最適な花と言えるのではないでしょうか。
椿は年賀状には使えないという説があるようです。
その理由として考えられることは、喪中はがきに椿の花が使われているからです。
椿はその形状から、白黒しか使えない喪中はがきでも椿だとわかります。
その特性が白黒印刷に向いているのですね。
喪中はがきには椿というイメージから、椿はお祝い事である年賀状には使えないという説が流れたようです。
これは勘違いからきたものと言えるかもしれません。
年賀状などにも椿の花の絵は使われています。
失礼にはならないので、ぜひ使ってください。
気をつけたいことはやはり送られた方の気持ちです。
感覚的に受け付けない人もいると思われるので椿を贈る場合は、事前に確認できるならばしておいた方が無難でしょう。
椿が魔除けにもなるって本当?理由は?
椿には魔除け・厄除けの意味があります。
その例を紹介しますね。
源氏物語の「若菜の巻」に出て来る場面です。
蹴まりの穢れを祓うために食べたのが椿餅と書かれています。
椿餅、どんな味や香りがするのか食べてみたいです。
古事記が書かれた頃では、椿には「魔除けの力」があると信じられていたようです。
宮中では魔除けの道具として椿の枝で作った杖を使っていたのだとか。
丈夫で風情のある杖だったのでしょうね。
現在で縁起がいいものは「松竹梅」と言われています。
梅が中国からやってくる前は、縁起がいいものは「松竹椿」と呼ばれていたそうですよ。
ここでも椿の縁起の良さがわかりますね。
椿の魔除けの効力は「結界樹」。
たった1本でも効力があるとされていました。
生垣にして家を囲うと魔の侵入が防げると言われていたようです。
椿の壁。
なかなか迫力がありそうですね。
椿は昔から神が宿る木と言われ、その力は魔除けだけではなく、不老長寿にも効果があるとされていました。
まとめ
椿についてご紹介しました。
椿がこれほど縁起のよい花であるとは知りませんでした。
きれいな花だなとは思っていましたが。
椿は魔除けにもなるということでグッズもいろいろ売られているようです。
白い椿の花で作ったしめ縄、椿の実で作ったブローチ、種から作った魔除けとしてのブレスレットなどいろいろありました。
椿は椿油として昔から使われてきたことを知っている人も多いのではないでしょうか。
遠い昔の話ですが祖母が使っていたことを覚えています。
椿油はとても貴重品のようですね。
ヘアケア用品としてもよく知られている椿油ですが、揚げ物もできるということ、知っていますか?
知っているようで知らなかった椿のこと。
縁起が悪いという思いは捨てて、積極的に取り入れていきたいですね。
椿は海外でも人気が高い花です。
カメリア、という言葉を聞いたことがありませんか?
これは椿のことです。
シャネルのモチーフとして使われていることもよく知られています。
シャネルといえば高級感漂う、世界でもトップクラスのブランドです。
海外でもやはり高貴な花として知られているのですね。
通販で売られている椿の花の髪飾り。
どれも華やかで、成人式や結婚式などに使えます。
機会があったら、椿をモチーフにしたアクセサリーを購入してみてください。
きっと高貴な雰囲気を醸し出してくれることでしょう。
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