皆さんは、冷蔵庫に食品(炊飯器の余ったご飯や残り物のカレーなど)を保存する際、冷ましてから入れますか?
もしくは、熱々のまま入れることはありますか?
私は「熱いまま入れると、冷蔵庫の中のものが腐る」と教えられ育ったので、熱々のご飯などは常温まで冷ましてから冷蔵庫に入れるのが当たり前と思っていました。
しかし、鍋や炊飯器から取り上げた食品を、熱いまま冷蔵庫に入れてしまう人もいるようです。
- 早く冷める。
- 最近の冷蔵庫は性能がいい。
- もうある程度冷めている。
などが主な理由なそうですがそもそも、どうして熱いものをすぐ冷蔵庫に入れたらだめなのでしょうか。
今回は冷蔵庫に入れる前の粗熱のとるコツや時間を解説していきます!
熱いおかずの粗熱はどのくらいの時間で取れる?
作り置きで出来上がった熱々の料理たち。
「粗熱が取れたら冷蔵庫へ」となりますが「粗熱とは何度くらい?」と聞くと、実は意見が分かれがちです。
これは「調理中の粗熱を取る」と「冷蔵庫にしまうための粗熱を取る」では適温が違うのも一因です。
調理後に発生させてしまった菌は、冷蔵庫や冷凍庫に入れても死滅しません。
料理を傷ませずに保管できるよう、粗熱を取って「冷蔵庫に入れていい適温」「粗熱を取る時間」を考えていきます。
食品を冷蔵庫に入れて問題がないのは何度くらいでしょうか?
冷蔵庫の使い方などでよく目にするのは「庫内の温度が上がらないように…」という言葉。
確かに先に保冷していた食品が、作り置き料理を入れたことで傷むのは避けたいところです。
冷蔵庫の場合、その冷蔵庫の機能の差や、設定温度、使う方がどの程度他の食品を入れているのか、など、前提条件が違うので一概に「何度のものを入れると影響がでる」とは断言できません。
ですが冷蔵庫のメーカーによってはその基準を「室温」としています。
例えば、作った麦茶を冷蔵する場合、100度で沸騰させた熱々の状態から、粗熱を室温で取り冷ました場合、室温で置いていても、室温以下には下がりません。
ですから、粗熱を取る際に目指す温度は「室温」となります。
室温は季節やご家庭の状況によって変わってきますが、厚生労働省が夏場節電のために設定を呼び掛けている温度は28度。
一般的に、菌は10度~45度の間で増殖するものと考えられていて、特に30度~37度以下の温度は最も菌が活発になります。
粗熱を取っても30度~37度で食品の温度をキープするのは危険ですから、この温度をより低くなったところの28度程になったところではもう「粗熱が取れた」と判断して冷蔵庫に入れても問題がないといえます。
基本的には粗熱の取り方には、難しいテクニックは必要ありません。
加熱を行ったあとに、しばらくその場に置いておくだけになります。
食材であれば、ボウルなどに入れてそのまま放置しましょう。
鍋やフライパンを使用して作った料理の粗熱を取る場合には、お皿に移すことのできるものは移し、移すことが困難な場合にはそのまま置いておきましょう。
下手に手を加えずに、熱が冷めるまではそのままにしておくのがポイントです。
でも大量に作ったカレーなどは粗熱をとるために放置していると、とても時間がかかることが容易に想像できます。
まして、細菌が増えると言われている10度から45度を通過する時間が長く菌が大量発生する危険もあります。
特にカレー・シチューなどの煮込み料理はウェルシュ菌と言われる食中毒が起こりやすいと言われています。
カレーに限らず、食中毒予防のためには「料理ができたらすぐ食べる」が鉄則ですが、カレーは大量に煮込んで作り、翌日以降に食べることも多いですよね。
そこで、翌日以降までカレーを保存したい場合は、ウェルシュ菌が繁殖しやすい20~50度程度の温度帯になる室温で長時間放置しないように、できるだけすばやく粗熱を取って、1回で食べきれる分ずつ厚みの少ない容器などに小分けにし、冷凍保存しましょう(翌日食べるのであれば冷蔵でもOK)。
鍋のまま冷ましていると1時間も2時間も経過しても冷めていないことがほとんどです。
小分けにすると10分や20分で冷めてきますので時間も危険も少なくすることができます。
たとえ真冬でも、最近の住宅は暖房などで部屋の温度が下がりきらないこともあり、室温での長時間保存は禁物です。
冷凍保存したカレーも、必ず食べる直前に鍋に移してかき混ぜながら、しっかり中心部まで再加熱して熱いうちに食べるようにしましょう。
ウェルシュ菌はカレーだけでなく、スープやシチューなどすべての粘度のある煮込み料理でリスクがあります。
調理する時には、
- 手洗いをしっかりする
- 中心部までしっかり加熱する
- 出来上がった料理はすぐに食べる
など食中毒予防の3原則である「つけない」「ふやさない」「やっつける」をしっかり守っておいしく健康的な食生活を送りましょう。
熱いまま冷蔵庫に入れてはダメな理由
でも実際には、食品を腐らせないために冷蔵庫に入れて保存しておきますよね。
それなのに、冷蔵庫に熱いものを入れると腐る・・・って何が根拠なのか?と、気になってしまいました。
熱いおかずを入れると他の食品が腐る
冷蔵庫っていうのは常温で保存できないものを、低温にして保存しますよね。
逆に言えば、低温にしておかなければすぐに雑菌が繁殖してしまうものを、冷蔵庫に入れて長期間入れて保存しておくものですが・・・
そうやって保存しているものの隣に熱いものがきたら、当然いくら冷蔵庫の中と言ってもその食品の熱さが移ってしまって、元々冷蔵庫で保存しているものも再度温められてしまいます。
そうなってくると、細菌が繁殖してしまい、最悪の場合、食中毒の原因になるそうです!
特に昔の冷蔵庫を使っていた、お父さんお母さん世代の人は、今の冷蔵庫と違って食品を冷やす機能も弱いですので、熱いものを冷蔵庫に入れると、なかなか冷えずに周りの食品も熱を持ってしまう。
その結果、菌が繁殖してしまうから…と言った理由で、「冷蔵庫に熱いものを入れると腐る」といっていたのだと思います。
ちょっと冷蔵庫が空いているし、隣の食材と離れているところにおけるからと。
もし、熱いものをそのまま入れた場合、いくら周りの食品と距離をとっていても「腐る原因になる」と言えるでしょう。
これは熱いものを入れることで「冷蔵庫全体の温度が下がる」からです。
つまりは他の食品との距離があろうとなかろうと、同じことなのです。
温度が上がることで影響が出やすい食品を紹介しましょう。
【温度が上がることで影響が出やすい食品】
- 水分が多く含まれている料理(煮物など)
- 卵
- ヨーグルト、チーズ、バターなど発酵食品や乳製品
- 牛乳
このほかにもありますが、少しの温度の変化でも影響がでてしまう食品はたくさんあるのです。
どんなものを入れるかにもよってしまいますが、量が多かったりすると簡単に2~3度上がってしまうと言われています。
その2~3度は食中毒を起こすのには十分な変化となってしまいます。
熱いおかずをいれるとその料理が腐る
熱いおかずに蓋をしたり、ラップをすると上に蒸気がたまります。
当然密封されているので、その料理自体の温度もなかなか下がらず、蒸気が水滴に変わってカビ、腐敗の原因になるのです。
熱いおかずを入れると冷蔵庫が故障する
冷蔵庫に熱いものを入れると故障するとか、故障の原因になる、と言われますが、これにもちゃんと根拠がありました。
熱いものといえば・・・湯気!
この湯気が冷蔵庫の中で冷やされるとどうなると思いますか?
答えは・・・水滴になって外に排出されます。
冷凍庫の場合は、霜になって冷凍庫の壁や天井に陣地を作って、勢力を拡大していることもありますね。
もう一度話を冷蔵庫に戻しますと、冷蔵庫の場合、冷蔵庫内位の余分な水分は排出ドレンを伝って冷蔵庫の下部にある受け皿に排出され、その水分は冷蔵庫の熱によって空気中に気化されます。
この排出ドレンが詰まってしまうと修理に出さなければなりませんので、出来ればあまり使いたくないですよね。
そこで考えられる対策として、「冷蔵庫内に余計な水分を持ち込まないこと」が考えられます。
余計な水分といえば…先ほど紹介した湯気!なんです。
熱い食品を冷蔵庫内に持ち込むと、他の食品を温めてしまうだけでなく、その湯気が水滴となって冷蔵庫の壁についてベタベタしてくるようになったり、また排出ドレンにも負担をかけてしまいます。
故障するということはないけれど、冷蔵庫に余分なパワーを使わせてしまい寿命が短くなることはかんがえられます。
熱いおかずを入れると電気代があがる
これは炊きたてご飯を冷凍させるときの温度で電力量がどれくらい違うか実験された方がいますので引用させていただきます。
炊き上がったご飯の温度が70℃、そのままタッパーに入れて冷凍庫で9時間冷凍した際にかかった電気代です。
- 積算電力量:0.73kW
- 積算電気料金:18.9円
炊き上がったご飯を15分間冷まして粗熱が取れた際の温度が40℃、そのまま冷凍庫に入れ9時間冷凍した際にかかった電気代です。
- 積算電力量:0.6kWh
- 積算電気料金:15.5円
炊き上がったご飯を熱いままタッパーに入れて冷凍した場合にかかる電気代が18.9円。
粗熱をとってから冷凍した場合が15.5円という結果から、ご飯を冷ましてから冷凍することで、電気代が3.4円(2合の場合)、安くなる。
ということがわかりました。
このように、冷蔵庫の開けっ放しで庫内の温度が上がったり、熱いものを入れて温度が上がったりするときに、温度を一定に保とうとする力がかかっていることがわかります。
塵も積もればですが、心がけることで電気代を抑えることができますね。
熱いおかずの粗熱をとるコツ
一番簡単な方法は、鍋やザルのまま時間を置くことです。
急いでいる場合には、うちわで扇いだり、鍋などを塗れた布巾や保冷剤の上に置くと早く温度が下がります。
先程ももうしましたが、小分けにすることで温度が下がる時間が短くなります。
さらに早く冷やしたい場合には、一回り大きなボウルなどに氷水か冷水を張り、その中に鍋を入れて冷ますという方法もあります。
その他、ここでコツをいくつかご紹介いたします。
冷蔵庫・冷凍庫の断捨離
冷蔵庫は隙間なく食品を詰め込んでしまうと、冷気がうまく循環しません。
新たに食品をいれた際にも、なかなか冷やされなくなってしまいます。
大量に作り置き料理を冷蔵庫に入れる前には、かさばる不要なものなどが入っていないか、チェックして十分なスペースを確保しましょう。
冷凍庫は、冷蔵庫と反対に、ある程度ものが詰まっている方がすでに凍っているものが冷気を保ってくれるので効率的に保冷されます。
ですが、この時期冷凍庫は込み合いやすいので、事前のスペース確保はしておきましょう。
できた料理は「平たい密閉器」にいれる
中心までの距離が短い方が早く冷えてきます。
背の高いサイコロ方型の容器にスープをいれた場合と、平たい豆腐のような型の容器にいれた場合は、サイコロ型の方が中心までの距離が遠くなってしまいます。
密閉器の蓋は「湯気などが収まってから」
湯気が出ている状態で、器型の密閉器に入れて蓋をしてしまうと、蓋が湯気で曇り、中にも水滴がついてしまいます。
冷蔵する際、余計な水分は雑菌発生のもとになり、味も損ないます。
また冷凍する場合には冷凍庫では、料理や食品を冷凍する場合、それ料理や食品自体が冷凍されたのではなく「料理や食品に含まれる水分」が凍っています。
冷凍の際には、この凍った水分の結晶が大きく冷凍されてしまうほど、組織が傷みます。
粗熱はしっかり取り、湯気で余計な水分を発生させないようにしましょう。
流水を利用する
ほうれん草の青止めのように、熱々に茹であげたものを流水にさらすことも粗熱を取る方法です。
料理の場合には、密閉できる保存袋などにいれて流水に当てることができます。
水道の温度は外気に影響されます。
東京都を例にした場合、水温平均は16度程度ですが、冬場は最低6度程、夏場の最高は28度を超えるので、水温には開きがあります。
ですが、温度は高い方から低い方に移ります。
粗熱を取りたい料理より水温が低ければ、冷蔵庫に入れる温度28度を目指すのに活用できます。
まとめ
作り置き料理の場合、一度にたくさんの料理をするので、出来上がる料理のタイミングはまちまちになります。
「粗熱が取れたら…」のタイミングも同時ではありません。
かといって温度計で料理の温度を測ってチェックするのも、家庭では難しいこと。
でも、目指す適温をしっかり把握していれば、目や手でも温度を見極めることができます。
どのタイミングで冷蔵庫に入れて良いものなのか?を考えながら作っていると、そのうち迷わず判断できるようになります。
せっかくつくった料理は、安全で美味しく召し上がりたいものです。
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