カワムツという魚をきいたことがありますか。
カワムツはコイ目・コイ科に属する淡水魚で、図鑑によると背面は褐色や黄褐色、体側中央に暗い藍色の幅広い縦縞が一本あり、腹部は白っぽい魚とされています。
西日本と東アジアを中心に分布しておりオイカワやウグイと同様、身近な川魚と言われています。
川や湖沼などに生息しますが、ヌマムツやオイカワよりも水がきれいな所を好み、その中でも水流が緩い所を好みます。
岸辺の植物が水面に覆いかぶさったような所に多く、人が近づくと茂みの陰へ逃げ込みます。
そんなカワムツですが、美味しい食べ方があるのを知っていますか?
今回はカワムツを美味しく食べるための最適な調理方法を紹介いたします!
カワムツを美味しく食べる方法
川魚は下処理具合によって、とても生臭かったり敬遠されがちですが、きちんと行うと身がふっくらしてとても美味しくいだだけます。
カワムツを美味しくたべるなら塩焼きや煮物・天ぷら、唐揚げ、南蛮漬けちょっと手間をかけて日持ちのする佃煮や甘露煮などもおすすめです。
カワムツの下処理
川魚は生息している川や池の水質により、また餌によって臭みを感じる事があるので下処理が重要です。
臭みの原因ひとつめは内臓。
魚のお腹を開けてうっかり内臓を傷つけてしまうと、とたんに悪臭がただようことがあります。
そのときに魚が食べているエサによっては、胃袋を破ってしまうと耐えがたい悪臭がすることも。
もうひとつは血液。
釣りたての魚の血はそれほど臭いませんが、時間が経つにつれてくさみが増していきます。
これを防ぐために血抜きの処理をするわけです。
背骨の下に張り付いている血合い、つまり腎臓もくさみの原因。
魚をさばくときに指先や歯ブラシなどでこすってしっかり取り除きましょう。
そして3つ目は、最初に最もダイレクトにくさく感じるのが魚の表皮を覆う粘液、ヌルヌル、ぬめり。
これをきれいに取り除きましょう。
まず魚の表面に塩を1つまみ、もしくは酢をふりかけ1分ほど放置します。
その後水道の水できれいに体のぬめりを取ってください。
ハサミや包丁で魚の頭とはらわたをとり、綺麗にお腹の部分を洗いましょう。
その後キッチンペーパーで水分を良く拭き取ります。
これでほぼ魚の臭みがぬけますので、魚料理をする上で一番大事な下処理が終了です。
カワムツの美味しい料理方法
カワムツは小骨が多いので、小さいサイズはそのまま食べられますが、10センチを超えると食べづらく感じます。
大きいサイズは塩焼きにし、小さいサイズは揚げ物や煮物にするのがおすすめです。
カワムツの塩焼き
下処理したカワムツをフライパンや魚焼き網で中火で焼きます。
くっついて皮が剥がれやすいのでティッシュで薄く酢を塗ると防ぐことができます。
少し大きいサイズのカワムツの塩焼きは身がほくほくして、あっさりしながらも少し甘みがありとても美味です。
カワムツの素揚げ
小・中サイズのカワムツは、素揚げがとっても美味しいんです。
本当にっ!
豆アジやワカサギのから揚げがお好きな方は、間違いなく「旨い!」って言ってくれると思います。
180℃に熱した油でカリっと揚げるだけ!
超お手軽料理です。
カワムツの天ぷら
【材料】
- カワムツ:8尾
- 小麦粉:適量
- 卵黄:1個
- 冷水:適量
- 揚げ油:適量
- カワムツに小麦粉を軽くまぶす。
- 卵黄に冷水を入れてよく混ぜ、ふるいにかけた小麦粉を少量ずつ入れ、天ぷら衣の固さにのばす。
- 油を180℃にあげ、身を衣にくぐらせて揚げる。
カワムツのフリット
フリットとは洋風の天ぷらのことで食材に、小麦粉・卵黄・油・牛乳・塩、そしてメレンゲの入った衣をつけて揚げたものを指します。
メレンゲとは、みなさんご存知のように卵白を泡立てたものです。
メレンゲを衣に使うことで、外はカリカリ、中はふわふわといった仕上がりになります。
ただし最近ではビールや炭酸水、ベーキングパウダーなどで、メレンゲを使わずにふんわりとした食感を出しているものもフリットと呼ばれています。
ちなみに、フリットと似たような名前の料理で「フリッター」というものがあります。
このふたつは、とくに違いはないんです。
衣にメレンゲを加えて作る揚げものを、イタリア語ではフリット、英語ではフリッターと言うのです。
また、フランス語ではベニエと呼ばれます。
これは天ぷらより手軽に、失敗もなくできるのでおすすめです。
【材料】
- 小さめの魚:10~20匹
- 揚げ油:適量
<フリット衣>
- 小麦粉:70g
- 片栗粉:30g
- 炭酸水(ビールでも可):100㎖
- ボウルに小麦粉、片栗粉を入れて軽く混ぜる
炭酸水を注ぎ入れ、泡立て器でよく混ぜます。
炭酸水の代わりにビールを使うのもおすすめです。
炭酸水を使う場合に比べて、衣の味にコクが出て、アルコール効果でよりカリッと仕上がります。
衣は薄い茶色に色づきます。 - 小魚に好みでこしょうをふり、フリット衣をつけて170℃に熱した揚げ油に入れる
初心者は揚げ油をたっぷり使ったほうが、油の温度が安定するので失敗しにくいです。
一度に入れる量は油の表面積の2/3までにすること。
魚に塩気があるので、塩はふらなくてOKです。
衣は厚めが好きならたっぷりと、薄めがよければボウルのふちで衣をしごいてから、揚げるといいでしょう。 - カラリとしてきたら、強火にして180℃に上げ、10秒ほど揚げると油切れがよくなり、より軽やかな食感に仕上がります。
カラリとなったか見極めるポイントは、
-
- 美味しそうな色
- 箸で魚を触ると表面がかたく感じる
- 油の振動が箸先に伝わってビリビリ感じる
などで判断します。
揚げ時間は魚の大きさにより変わりますが香ばしい揚げたてフリットをつまんで口に入れると、衣はカリカリッとした食感。魚の身はふわふわっとやわらかく、うまみが広がります。
パクパク食べやすいサイズにすれば、ビールを片手にすれば、もう手が止まならい美味しさになります!
好みでカレー塩、山椒塩、スパイス塩などをふったり、衣に直接、カレー粉や粉チーズを加えたりしても美味しいですよ。
7~8cmの魚は3~4分。
さらに小さい3~4cmの魚は1~2分を目安に揚げてください」
カワムツの唐揚げ
塩とコショウをして冷蔵庫で冷やしておきます。
油の温度を上げておきます。
天ぷらよりも低い温度でよいでしょう。
魚の身には、片栗粉をまんべんなくまぶしてから揚げます。
低い温度で、ゆっくり揚げるほうがおいしくいただけます。
カワムツの南蛮漬け
たくさんカワムツがあるときは、唐揚げにしたものを南蛮漬けにしておくと保存がききます。
冷たいままどうぞ。
【材料】
- 魚(切身):400g
- 片栗粉:適量
- 赤唐辛子(*種を出して、輪切りにしておく。):少々
- 青ねぎ(小口切り)
- 揚げ油
<合わせ酢>
- 出し汁:270cc
- 薄口醤油:90cc
- 酢:90cc
- 砂糖:75g
- 切身に片栗粉をまぶす
(余分な粉は除いておく。) - 180℃の油で魚を揚げる
- 揚げた魚を再び油で揚げる
二度揚げする。 - 合せ酢をひと煮立ちさせる
- 揚げた魚を合せ酢につける
(赤唐辛子を少々加える) - 器に盛り付けて、青ねぎを天盛りにする。
カワムツの煮付け
- だし汁:150ml
- 酒:50ml
- 砂糖:大さじ3
- 醤油:50ml
- 生姜(スライス):1かけ分(10g)
- フライパンに【調味材料】を入れてひと煮立ちさせ、カワムツを入れる
- 落とし蓋をしてやや強めの弱火にし、20分ほど火にかける
- お皿にカワムツを盛り付け、煮汁をかける。最後に生姜、(付け合わせ)を添える
カワムツの円揚げ
円揚げ(つぶらあげ)は、骨付きのニジマスを素揚げにし甘辛いタレに潜らせて作る、長野県安曇市の郷土料理です。
この料理、不思議と全く骨が気にならないんです!
ニジマスのから揚げは、身がくるっと丸くなっていて、円(つぶら)揚げと呼ばれています。
水揚げ後、直ちに料理しなければ丸くならない。
鮮度が大事な料理です。
ニジマスを背開きにし、はらわたを取り除き、水洗いをして水気をしっかりふき取り、間髪入れずに小麦粉をまぶし、揚げるとニジマスの筋肉が生きているうちに急速に加熱されることで、皮と身の収縮率の違いからくるりと丸くなるといわれています。
円揚げは、強度のハレの食であるのですがが、二度揚げで魚特有の臭みが消え、頭も尾も食べられるのでカルシウムも摂取でき、学校給食でも重宝されている料理なんです。
それをカワムツで再現してみると、とても素晴らしい料理になります。
【材料】
- 醤油
- 酒
- 砂糖
- みりん
- 水
以上を1:1の割合で沸かしておきます。
- カワムツは内蔵をとり、背開きにします
- 170度の油でじっくり、ゆっくりあげます
最後に油の温度を180度まで上げて行き、カラッと仕上げます。 - 揚げたてをあつあつの合わせタレに漬けます
- 2〜3分弱火で煮詰め、冷ましたら完成です
いわゆる揚げ浸しと言われる調理法ですが、不思議と骨まで食べられる、おすすめのレシピです。
カワムツの佃煮・甘露煮
皆さん、佃煮と甘露煮の違いをしっていますか。
どちらも甘い保存食というイメージと思いますが、微妙に違います。
佃煮って言うのは、江戸時代初期に豊臣側との陣に功労があったとしてその恩賞に江戸の漁労権を得た「森孫右衛門」という人が東京佃島に住み、商品価値の無い小魚を味醂としょう油で煮しめて保存食として売り出したのが最初です。
現在では小魚や貝だけでなく、野菜の皮や葉(ふき、竹の子、山椒、パセリ等)など範囲も広くなりました。
甘露煮の甘露とは蜜の事でして、つまり砂糖や水飴をきかせてカラメル様に仕上げた保存食です。
主に淡水の小魚(ふな、わかさぎ等)を乾燥(干すか、焼く)したものを、水煮(あるいは酒や番茶煮)して、砂糖、しょう油、味醂で煮しめたものです。
つまり干物や焼き物にした魚に調味したものなんです。
今回は佃煮のレシピを紹介します。
- カワムツ(小魚): 適量
<調味液>
- 砂糖 :300g~350g
- 水飴:80g~100g
- 醤油:180cc~240cc
- みりん:60cc~100cc
※お好みの調味料適量(お酒や香辛料など)
この配合は一例ですので、魚の量などによりお好みで調合して下さい。
- 調味液を煮詰めて元液にします
なべに、元液を入れ加熱し沸騰してから、原料魚を入れます。
元液は、原料1kgに対して1kg程の量にします。 - 調味液を入れます
調味液の量は、原料魚1kgに対し400g~500g位にします。
元液と、調味液の合計量が鍋の大きさに比較して多すぎると、沸騰したときに液が鍋からあふれます。
少し深めの鍋が良いです。
少なすぎると、十分煮込む前に、液がなくなってしまいます。火力が強すぎると、原料魚に煮熟液が浸透する前に、調味液だけが煮詰まってしまい硬くて、味も良くないものになります。
鍋の大きさと投入する原料魚の量に合わせて、火力を調節して下さい。ある程度、煮詰ってきましたら、火力を弱くしないと鍋の底に焦げ付ますので気を付けて下さい。
少し早めに煮揚げてしまった方が、薄味で食べやすく仕上がります。
煮上げた残りの元液は、うまみが残っていますので、次に作るときに使えます。
薄味で仕上げた場合は、日持ちがしませんので必ず冷凍保管して下さい。
常温、冷暗所で保管したい場合は、十分調味液が煮詰るまで煮込まないと、腐敗の危険性があります。
この場合は、焦げ付かない少し前で煮揚げて下さい。
煮揚げるタイミングは少し技術が必要です。
煮込み過ぎると、味が濃すぎて硬くなり、美味しく仕上がりませんので御注意下さい。
上手に作れた佃煮は1年保存がきくと言われています。
カワムツは飼育できる?
雑魚と言われるカワムツ。
食べられることもあまり知られていませんでしたが、実は観賞用として飼育もできるのです。
カワムツは比較的環境変化に強い魚なので、飼育も簡単な部類に入ります。
とはいえ、好奇心旺盛で何でも食べてしまうため、メダカや金魚といった他の魚と一緒に飼育することはオススメできません。
カワムツ同士の混泳は、大きさに差が無ければ小競り合いはしますが、おおむね大丈夫です。
また、勢いよく泳ぐ特性があるので小さな15センチ以下の魚でも60センチ、それ以上のサイズであれば90センチ上の水槽を用意してあげたいところです。
そんなカワムツ飼育ですが、いくつかポイントがあります。
水槽からの飛び出しに注意流
川魚全般にも言えることですが、カワムツはよく水面をジャンプすることがあり、水槽で飼育しているといつのまにか水槽を飛び出して死んでいたなんていうことがあります。
ですので、必ず水槽にはガラス蓋などを使用してカワムツが飛び出さないようにすることが大切です。
また、水槽の水位を下げておくのも効果的です。
縄張り意識に注意
カワムツは縄張り意識のある魚ですので、同種間では激しく喧嘩する場合があります。
また、ほかの川魚と一緒に飼育していると、それらの魚を噛み付いたりするほか、エサを独り占めしてしまうこともあります。
できれば飼育する魚のサイズは同等のものにしたり、水槽サイズを大きくして隠れ家を多めに作ってあげるなどして対処してあげたほうがよいでしょう。
夏場の高水温に注意
日本の夏は30度を越えるような暑い日が続く事がありますが、飼育水槽の水温が30度を越えるとカワムツは耐えることができません。
水槽を直射日光があたらない場所に設置するのはもちろんですが、水槽用のクーラーなどを使用して、温度が上がり過ぎないように注意する必要があります。
酸欠に注意
カワムツのような川魚は酸欠に弱い一面もありますので、エアレーションは十分におこなう必要があります。
水槽内に魚の数が多い場合や、夏場の酸素要求量の上がる季節は特に注意が必要です。
餌について
カワムツは雑食性であるため何でもよく食べてくれますので、ペットショップなどで市販されている、金魚用のエサや、川魚用のエサでも食べてくれますので、楽に飼育することができます。
ただし、自然の川から採集してきた野生のカワムツです、水槽の環境に慣れていないということもあって、なかなか人工飼料に慣れてくれない場合もありますが、その場合は冷凍アカムシなどの生き餌を与えて様子をみましょう。
また、意外と臆病な性質もありますので、水槽に入れた直後など、大きな物音が頻繁に発生するような環境でもエサを食べてくれない場合があります。
まとめ
あまり身近に感じていなかったカワムツという魚ですが、実はとても身近なところに存在することをご理解いただけましたでしょうか。
手軽に近所の川や池でかんたんに釣ることができ、小魚であれば網で救うこともできます。
そんなカワムツを料理したり、飼育したり、小さなお子さんがいるご家庭などでは夏休みの観察などにもうってつけですよね。
今回は、最も身近な場所に生息している川魚”カワムツ”をご紹介させていただきました。
この夏、家族で近所の川へ思い切って魚釣りに出かけてみてはいかがでしょうか。
コメント