食器を洗うときやお洗濯をするときに、洗剤って必ず使いますよね。
しっかり洗剤を使っているのになかなか落ちない汚れもあったりして、どうしたらいいのだろうと途方にくれることもしばしば。
そもそも、洗剤で汚れが落ちる理由ってご存じですか?
簡単に言うと、界面活性剤というものの働きのおかげなのです。
洗剤の成分を見てみると界面活性剤○○%なんて記載があります。
汚れが落ちる仕組みが界面活性剤のおかげなのであれば、界面活性剤は、たくさん入っているほうが汚れ落ちはいいのでしょうか?
せっかくならしっかり汚れが落ちる洗剤を使いたいけど、どれがいいのか正直わからないですよね。
安心してください。
今回は、界面活性剤について解説していきます。
界面活性剤が汚れを落とす仕組みから、どんな洗剤がいいのかまで詳しく調べました。
界面活性剤はパーセントが高いほど洗浄力も高くなる?洗剤の選び方をご紹介!
そもそも界面活性剤って何でしょうか?
界面活性剤とは、“界面”を“活性化させる”物質のことです。
界面とは、2つの異なる性質の間にある仕切りのようなもののことです。
本来混じり合わない水と油のような物質の界面を変化させて混ざりあうようにしてくれるのです。
その働きのおかげで、衣服や食器についた汚れを落とすことができるのです。
なぜそんなことができるのでしょうか。
それは、界面活性剤を構成する分子に水と油の両方の性質があり、水にも油にも溶ける物質だからです。
水になじみやすい部位を「親水基」といい、油になじみやすい部位を「親油基」と言います。
親油基は水を嫌うので油汚れなどにくっつきます。
汚れにくっついた界面活性剤が、汚れの周りを囲い、再び衣服や食器に付着することを保護しています。
汚れが落ちる過程は次の4段階です。
- 湿潤作用
- 浸透作用
- 乳化・分散作用
- 再付着防止
1. 湿潤作用
洗剤と水を加えることで、水の表面張力が弱まります。
そして「汚れ」の表面にあった界面がはがれ、汚れを濡らします。
2. 浸透作用
界面活性剤が汚れと、衣服やお皿とのあいだに浸み込み(入り込み)、お互いを引きはがそうとします。
3. 乳化・分散作用
浸み込んだ界面活性剤は、それぞれの周囲に吸着し、お互いを引き離した結果、水中に取り出されます。
4. 再付着防止
取り出された汚れは界面活性剤の分子によって包まれます。
つまり、汚れを中心にして界面活性剤の分子が再付着を防いでくれます。
これらの複数の働きのおかげで、汚れが落ちるのです。
界面活性剤の作用によってできる「泡」ですが、汚れを落とすことに直接関係はありません。
泡は汚れを吸着して液面上に浮き上がらせて、洗っている液体の中の汚れを少なくしていきます。
泡は、洗浄効果を助ける働きをします。
ただ、泡が多すぎると、すすぎなどの効率が悪くなり、逆に洗浄効果を下げてしまうので、注意が必要です。
結局、界面活性剤は割合が多いほどいいのでしょうか。
洗濯の場合で考えてみます。
洗剤が洗濯物の汚れを落とすために必要な条件は、
- 水
- 適量の洗剤
- 洗濯機による攪拌
この3つです。
界面活性剤が汚れを落とす仕組みについては分かりましたよね。
でも実際に汚れを落とすためには、洗濯槽内の洗剤が適量になっている必要があります。
洗剤ごとの使用量の目安に対して、少なすぎると汚れを落とすことができませんが、多すぎても洗浄力はそれほど変わらないのです。
これには、ミセルというものが関係してきます。
ミセルとは、水の中で界面活性剤の分子がある濃度以上になると、分子同士がくっついてできる粒子のことです。
このミセルが、汚れを包み込み、分散させ、再度汚れがつくのを防いでくれるのです。
さきほど説明した、汚れが落ちる過程の4段階はミセルの働きによるものということです。
汚れの量に応じて必要なミセル量は変わってくるのです。
汚れがひどい場合は、界面活性剤が多い洗剤のほうがいいと言えますが、それだけ負担もかかるので、洋服を傷めたくない場合は界面活性剤が少なめの洗剤がいいと言えます。
具体的にどんな洗剤を選べばいいのでしょうか。
洗濯洗剤であれば、一番汚れ落ちがいいのは粉なのです。
粉の洗濯洗剤は、界面活性剤はそれほど多くないのですが、汚れを溶かす働きのある成分が入っています。
液体洗剤には入れることができない成分のようなのですが、これらのおかげで洗浄力はとても高くなっています。
白いシャツなどを洗う場合は粉の洗剤がいいでしょう。
粉の洗剤のデメリットとしては、色が抜けやすいということです。
色物を洗う場合は界面活性剤が50%以上の液体洗剤を選ぶのが良いと思います。
なるべく洗濯による痛みを防ぎたいような場合は、おしゃれ着用の洗剤がおすすめです。
ただ、おしゃれ着用の洗剤は、洗浄力が弱いので頑固な汚れの場合はクリーニングに出したほうが良いかもしれません。
食器用洗剤は、洗浄力だけで考えると、界面活性剤35%以上のものが良いです。
ただ、肌への負担も大きくなります。
なるべく負担を減らしたい場合は、界面活性剤10%前後のものを選ぶといいでしょう。
界面活性剤は洗濯用洗剤にいちばん多く使われている!
界面活性剤は食器用洗剤、洗濯洗剤、住宅用洗剤など汚れを落とすものに含まれています。
割合の多さでいうと、洗濯洗剤>食器用洗剤>住宅用洗剤の順番になるかと思います。
私が持っているもので割合を見てみました。
- 洗濯洗剤 アタックゼロ 界面活性剤51%
- 食器用洗剤 キュキュット 界面活性剤 37%
- 住宅用洗剤 かんたんマイペット 界面活性剤0.2%
界面活性剤が洗濯洗剤に一番多く含まれている理由は、私が調べたなかでは確実な情報を見つけることができませんでした。
しかし、界面活性剤で汚れが落ちるしくみから考えると、水も必要になってくることがわかります。
洗濯するとき、洗濯槽の中にたくさんの水が入り、それによって洗剤が薄められるのと、素手で直接触ることがないので、界面活性剤の濃度が高くできるのかなと思いました。
食器用洗剤も同様に、スポンジに水を含ませてから洗剤をつけますよね。
それによって薄められるので比較的濃度が高くなっているのだと思います。
ただ、食器洗いは素手ですることが多いので、あまりに濃度が高すぎると手が荒れてしまいます。
なので、洗濯洗剤より濃度が低いのだと思います。
住宅用洗剤は、汚れに直接吹きかけて使うことがほとんどですよね。
最初からちょうどいい濃度になるように調整されているから、洗濯用や食器用に比べて濃度が低いのだと思います。
割れないシャボン玉はどう作る?グリセリンを使って実験してみた結果!
ところで、食器用洗剤を使ってシャボン液を作れることはご存じですか。
シャボン玉ができるしくみは、界面活性剤により水の表面張力を弱まり、そこに息を吹きかけることで、界面活性剤の分子が空気を囲み、薄い膜ができるということなのです。
もしかしたら、理科の実験や夏休みの自由研究で作ったことがある方も多いかもしれません。
グリセリンを混ぜることで、割れにくいシャボン玉を作ることもできるので、材料とやり方について説明しますね。
シャボン玉の作り方
【材料】
- 水:200ml
- 食器用洗剤:10ml
(界面活性剤35%以上のものがいいと思います) - グリセリン:50ml
【作り方】
- 水道水を一度沸騰させて冷ます
(不純物を除去するため) - 水と洗剤とグリセリンを、泡立たないように静かに混ぜる
これだけです。
なんでグリセリンを混ぜると割れにくくなるかというと、グリセリンには保湿効果があり、その効果がシャボン玉液の蒸発を遅らせることで割れにくくなるのです。
実際に作ってみましたが、市販品と同じようにシャボン玉ができました!
より割れにくくするには、洗濯のりを混ぜると良いみたいです
まとめ
いかがでしたか。
界面活性剤が多いと、洗浄力が高いけれど肌や洋服を傷めてしまうこともわかりました。
汚れ具合や自分の肌に負担がかからない範囲でえらぶことが大切ですね。
ぜひ参考にしてみてください。
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