元来しわになりにくいポリエステルですが、ポリエステルの衣類を熱湯で洗濯して、縮みしわになってしまったことはありませんか。
先に、ポリエステルは他の合成繊維と比べて熱に強いと申しましたが、「熱」に強い=「熱湯」にも強い、というわけではありません。
「比較的」熱に強いですが、熱湯や乾燥機のような熱風はNGです。
比較的熱に強いと言われるポリエステル素材ですが、熱湯で洗ってしまうとしわになります。
そこで、どうして熱に強いにと言われているにも関わらず、熱湯で洗うとしわになるのか。
しわになってしまった衣類のしわを直す方法。
ポリエステルに熱湯を使うと、どういう効果が期待できるのか。
以上、順にみていきたいと思います。
ポリエステルに熱湯をかけるとしわになる!
どうして、比較的熱に強いはずのポリエステルに熱湯をかけるとしわができるのでしょうか。
それは、ポリエステルの原料に関係します。
一言でポリエステルと言っても、合成されたさまざまなモノが存在し、その化学組織もさまざまのようです。
その中でも、衣料用繊維の約半数は、ポリエチレンテレフタレート(略してPET)と呼ばれるものを主成分とし、これは石油を原料としています。
一番身近なものですと、ペットボトルにも使われています。
最近では、ペットボトルのリサイクルもだいぶ浸透し、リサイクルされたペットボトルは、このように衣料用繊維などに使われています。
ポリエステルは、融点やガラス転移点(ガラス転移温度とも言います)と言われるものが、しわができる原因と密接に関係しています。
熱湯に触れることで、ポリエステル分子の軟化が進み、しわの原因になると言われています。
これ以上は、科学的な話になってしまいますので、原料の話はここまでにします。
要するに、ポリエステルという成分の性質上、熱湯をかけることで、繊維が縮んでしまい、しわができます。
熱湯を使うことは、除菌ができたり、粉末洗剤が溶けやすくなったり、消臭効果が期待できたり、と様々な効果があります。
臭い汚れが気になって、熱湯で「煮洗い」したら消臭効果があるのではないか、と思ってされる方もいらっしゃるようですが、ポリエステルの素材に限っては、熱湯はNGです。
しわくちゃになり、そのあとの作業が大変なことになってしまいます。
もし除菌などの目的で、お湯で洗濯しようと思った際は、熱湯のお湯ではなく、ぬるま湯で洗濯することをお勧めします。
ポリエステルは、水弾きがよく型崩れがしにくい素材としても知られています。
脱水はなるべく短めにし、洗濯後は、よくはたいて手である程度しわを綺麗に直してから干せば、ほとんどしわは目立たなくなります。
しかし、洗濯後の衣類を長らく洗濯槽内に放置したり、はたかずにそのまま干したりしても、しわが付く原因となります。
ポリエステルを熱湯で洗濯してしわになってしまった時の直し方
次に、知らずに熱湯でポリエステル素材を洗濯してしまった場合、どうやって直したらよいか。
熱湯で、ポリエステルの繊維自体が収縮してしまった場合は、衣類の「しわ」、というより「縮み」となってしまっていますので、これからご案内する方法で対処できないかもしれません。
しかしながら、「しわ」になった程度であれば、それを直せる可能性がありますので、その方法をいくつかご紹介します。
一つ目の方法としては、しわになってしまった衣類をアイロンがけすることです。
もちろん、アイロンをかける前には、アイロンをかけてもよい服かどうか洗濯表示を必ずご確認ください。
ここでも気を付けたいことは、比較的熱に強いと言われるポリエステルであっても、熱湯や熱風等、極度に高温のものには弱く、繊維の縮みなどを引き起こしてしまいます。
従って、ここでは中温程度で当て布をしっかりしてかけることが大切です。
それでもしわが取れない場合は、霧吹きで湿らせて、生地のしわを綺麗に伸ばしてから乾かします。
この時、熱風は生地を傷める恐れもある為、自然の風で乾かす、急ぎの場合は、扇風機など常温の風で乾かすのも有効です。
それでもしわが取れない場合は、思い切ってもう一度水洗いしてから、きちんとはたいて乾かすのも効果的です。
以上が、熱湯でポリエステルを洗ってしまった際のしわ取りに有効な方法です。
これよりは、そもそもポリエステルがしわにならないように洗濯時気を付けることを4つお伝えします。
- 柔軟剤を使用
- 折りたたんでネットに入れる
- 脱水時間を短縮する
- 乾燥機は使わない
柔軟剤については、字のごとく、生地を柔軟にさせる役割がありますので、是非ご利用をお勧めします。
次に、綺麗に折りたたんでネットに入れて洗濯をすることで、脱水されても、しわだらけになるのを多少防げます。
型崩れも比較的しにくいと言われているポリエステルですが、特にシャツ類は、ネットに入れて洗濯することをお勧めします。
次いで、脱水時間の短縮ですが、ポリエステル素材は、比較的乾きやすい素材としても知られています。
通常時間脱水しますと、かなりしわくちゃになります。
比較的乾きやすい素材ですから、脱水時間の短めにすると生地の収縮やしわの原因を防ぐことができるでしょう。
最後に、乾燥機は使わない、ということです。
前述のとおり、比較的熱に強いと言われているポリエステルですが、乾燥機で熱風を何時間も当て続けると、生地が収縮する原因となります。
ポリエステル素材を洗濯する際は、しわにならないように、是非以上4つの点にお気を付けください。
さて、お次は、熱湯で洗濯することのよる効果です。
一般的に、熱湯で洗濯することは、消毒・消臭効果があると言われていますが、ポリエステルについても同じことが言えるのでしょうか。
ポリエステルに対する消毒・消臭効果をみていきましょう。
ポリエステルは熱湯で消毒&臭いがとれる!
2020年は、抗ウイルス対策や、抗菌、除菌などといった言葉をよく聞きましたね。
洗濯でもウイルスを除去できるものが発売されたり、手指消毒用のアルコール度数が重要視されたり…
除菌も大切ですが、洗濯で重視することは、やはり消臭効果ではないでしょうか。
私は、消臭効果と少しの漂白効果を期待して、液体漂白剤を毎回使っています。
それに加えて、柔軟剤も使います。
最近は、洗剤単品でも高性能なものが出ていますので、液体漂白剤を使わなくても、それなりの漂白効果はありますよね。
では、消臭についてはどうでしょうか。
ポリエステルを洗濯する際に、消臭したい場合。
ポリエステルは、速乾性があって耐久性もあって、形状記憶効果も期待ができる優秀な素材です。
しかし、これらのようなメリットばかりではありません。
ポリエステルは、皮脂や汚れを吸着しやすいと言われています。
それでもって、先にご紹介したように、熱湯を使うとしわになってしまいます。
では、どうしたらよいか。
臭いの主な原因は、汗や汚れです。
汗をかいた場合は、長時間そのまま放置せずに、すぐに洗うことが鉄則です。
しかし、洗っても、汚れが積み重なると、においを発してくることもありますよね。
熱湯ではない、ぬるま湯を使って洗うと効果的です。
洗濯する際に、ぬるま湯を使い、洗剤に酸素系の漂白剤を加えれば、消臭効果も期待でできます。
あまりにも頑固な臭い汚れの場合は、粉末の酸素系漂白剤を水に溶かして、そこに一定時間浸け置きしてから、その後にすすぎ洗いとして普通に洗濯することでも、消臭効果が期待できます。
ポリエステルという素材の特性上、熱湯での洗濯はNGです。
必ず、ぬるま湯を使いましょう。
30度前後のぬるま湯が良いでしょう。
シルクは、熱湯での煮沸消毒が有効などと言われていますが、ポリエステルに限っては、熱湯は用いない方が良さそうです。
以上、臭いが気になる場合は、このような手順で洗濯していただければ良いかと思います。
あまりにも強い漂白剤で、洗濯を繰り返すことで、耐久性のあるポリエステルであっても、生地は傷んでしまう可能性がありますので、注意が必要です。
この際、臭い汚れを防ぐ方法もあわせてお伝えします。
臭い汚れの原因は、汗や皮脂による汚れがほとんどです。
従って、直接汗や皮脂汚れを吸収しないように、ポリエステ素材の服を肌に直接着用しないようにするのも一つの手段です。
また、ポリエステル素材の衣類の中には、消臭や抗菌機能をうたっている衣類もあります。
気になる方はこういった機能性ポリエステルの製品を使うことも一つの手段です。
あとは、一度着用した衣類は、汗をかいていなくともなるべく毎回洗濯することですね。
汗をかいたという自覚がなくても、身体からは微量の汗や皮脂などが分泌され、衣類に付着しています。
それを長時間放置することで、雑菌が繁殖し、黄ばみや臭い汚れの原因となります。
まとめ
さて、ここまで見て頂いてお分かり頂けましたように、ポリエステルは、熱湯で洗濯をするとしわになってしまいます。
衣類の素材や洗濯表示を良く確認せずに、洗濯してしまったというあなた。
是非一度、ここでご紹介したいくつかのしわ取り方法をお試しください。
熱湯でしわになってしまう、と聞いて「ポリエステルって意外と面倒だなぁ。」と思ってしまったあなた。
衣類を選ぶ時の、お役立ち情報をお伝えします。
ポリエステル100%の衣類の場合、いざという時のしわ取りが面倒だったりするかもしれません。
そんな時、他の素材が混紡されている衣類を選ぶのが、おすすめです。
ポリエステルに限らず、その他の素材もそうですが、素材には、それぞれメリット・デメリットがあります。
混紡されていることにより、お互いのデメリットを補い合うことができます。
ポリエステルに綿やポリウレタンが混紡されていることで、ポリウレタンの特性と綿の特性が活かされます。
綿は、しわになりやすいけれども、アイロンの耐性があります。
ポリウレタンは、速乾性や柔軟性に優れています。
これらが混紡されることで、それぞれのデメリットの部分を補ってくれます。
ポリエステルは、化学繊維でありながらも、かなりメリットの多い合成繊維です。
私は、個人的にはコットンが好きで、コットンの製品を愛用しています。
肌にトラブルを抱えている方で、オーガニックコットンでないと肌が荒れてしまう、という方も中にはいらっしゃると思います。
好みは、人それぞれですね。
しかしながら、カジュアルウェアの某大手メーカーさんから販売されているヒートテックのようなものは、合成繊維を上手く取り入れ、その合成繊維のメリットを最大限に活かした商品ですよね。
そして、寒い冬には、私達の最大の見方となって、暖かく包んでくれます。
結局、天然素材のものは天然素材の良さがありますし、合成繊維であっても、素材そのものや素材の加工方法などでその良さを大いに引き出すことができるわけです。
どちらがいいということではなく、それぞれの良さがあるということです。
ですから、どれを選ぶかは、TPOでうまく使い分ければいいのかな、と思っています。
混紡している素材については、洗濯方法も変わりますので、品質表記や洗濯表示等をしっかり確認の上、それに沿った方法で、洗濯してください。
それぞれの素材の特性を知って、衣類を楽にキレイに洗濯し、長持ちさせたいものですね。
そして色々な素材でファッションを楽しみたいですね。
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